Let there be radio!

笑いの神は言った。「深夜ラジオあれ。」と。

いまさら(?)M-1 2018を振り返る

こんばんは、岸田井助です。

このブログでは基本的に深夜ラジオのことしか書かないつもりでいましたが、M1は必ず芸人ラジオで話されますしまぁいいかということで記事を書こうかなと思います。ただ、今年のM1の総評であるとか感想であるとかを書いている人はもう山のようにいますし出遅れ感があります。逆に少し日がたっているのでそれはそれでいいかなと願っておきます。

番組終了後のいざこざは最後のほうに書きます。

総評

流れ

番組では松本が、他にもいろんなところで言われていますが、前半は客が重かった気がします。敗者復活2~4位とかで前座をやってもいいかもしれませんよね。トップバッターも楽になるかもしれません。そんなどことなく重たい空気を変えたのがラストイヤーだったジャルジャル。やっぱり力がある芸人さんは違うと思いました。最後2組、和牛と霜降り明星の時には彼らの面白い漫才も合わさってホカホカでしたね。

決勝の決勝にはジャルジャル、和牛、霜降りが登場。和牛、霜降りどっちが勝ってもおかしくないという感じでしたが、4対3で霜降りが優勝!史上最年少での優勝だそう。おめでとう!!

審査員

今年の審査員は7名でした。中でも圧巻だったのはナイツの塙。初めてとは思えないほどの程よい点数付与、的を射ていてそれでいて我々一般人にもわかりやすいコメント、素晴らしかったです。ぜひ来年もやってほしいです。他に話題になっているのは上沼恵美子志らくですが、前者は一番最後に書きます。志らくのコメントがめちゃくちゃだと話題になっていますが、これはパッと聞いた感じだと一般人には理解できないのでバズっているのだと思います。「うまいけど面白くない」「笑わなかったけど99点」。一見すると禅問答みたいですが、笑いとは得てして複雑なものですしこういった考えに至るのは変ではないと思います。評価基準は、目新しいものには高得点をつけるというところがはっきりしていたので良かったと思います。審査員は7名もいるわけですので、それぞれ違った評価軸を基に採点するのは理に適っていると私は思いますね。

各組感想

①見取り図(9位)

トップバッターの見取り図。塙が言っていたように2人の世界だけで完結していて私たち聞き手をつかめていなかった気がします(縦の意識)。架空の人物を入れて後々回収する…というネタでしたが、個人的には回収が遅すぎて「マルコ牧師ってなんや...?」と引っかかったままだったのでネタに没頭できなかった部分があります。あとは「あたおか」というキャッチーなワードを放り込んでいましたが、「あ、狙ってきたな」と思っちゃったので(捻くれすぎでしょうか)素直に笑えなかったですね。ここまでネガばっかり書いてきましたが、漫才の構成次第ですごく化けそうだなと思いました。来年は彼らで爆笑したいです。

スーパーマラドーナ(7位)

今話題のスーマラです。ラストイヤーでしたが、個人的にはその熱い思いが空回りしているように見えました(客の重さもあるでしょうが)。武智がサイコパスと思わせて田中のほうがサイコパスです、ということを客にうっすら匂わせたうえでネタが進んでいくのですが、意外な展開であると田中が何らかの予想外のボケをかますということもなく単調な感じを受けました。見取り図と同じく縦の意識が少なかったように思います。客がそこまでネタに没頭していない中で「今人生で一番大事な舞台やぞ!」というメタワードが出てきたので余計覚めてしまったかもしれません。去年までのネタは結構面白くて好きだっただけに残念でした。

かまいたち(5位)

いや~決勝に行ってほしかった!二本目見たかったですね。客があったまってから出ていてくれればなぁと思いました。私は基本的には和牛とかかまいたちとかの論理的な面白さで笑わせる「うまい漫才」「上品な漫才」が好きなので贔屓目かもしれませんが。タイムマシンを使えたらどうするか?というフリがあって、やり取りしていく中で「最初の来店時に戻ってポイントカードを作る」という山内のボケが立場逆転して優位になっていく…というネタでした。個人的にすごく面白くて、前2組との対比もあったのか、KOC王者の力を見せつけられたなと感じました。ただ、審査員にはイマイチだったのか点数もコメントも辛めでした。もしかすると後半で濱家が山内を追い詰めようとするときに墓穴を掘ってしまうところが盛り上がりに欠けたのかもしれません。私はそうは思わなかったですが。

ジャルジャル(3位→3位)

若手のイメージがあった彼らもなんと今年でラストイヤー!決勝のネタ「国名分けゲーム」はM1史に残るネタでしょうね。上述したように、「正統派漫才」が好きなのであまりジャルジャルのこういう系のネタは好きではなかったのですがこれは笑っちゃいましたね。ここでスタジオの雰囲気も変わりましたし、すごかったですね。打ち上げで言ってましたが、何回目でツッコむかは決まっておらず、実際にあの場であのゲームをしていたらしいのでその実力(と練習)たるやすごいですね。

それゆえに2本目がもったいなかったと思います。テレビでやったことあるネタだったので覚めちゃいましたね。打ち上げでは、新ネタを作っていたらしいのですが大会直前にボツになったらしく納得しました。ジャルジャルにはM1は狭いと思うので、コントを始め、もっといろんなところで彼らに笑わせてほしいと思います。応援してます。

ギャロップ(8位)

「実力はあるコンビなんですが…」巨人師匠も悔しがっていましたね。上沼からは「自虐は笑えない」、松本や志らくからは「いうほどハゲてない」「ハゲ方が面白くない」など散々な言われようでした。ただ、これからはそれで掴みができるので結果オーライでしょうか。このことに関して盟友(?)のダイアンはラジオで「林は気合を入れて決勝前に散髪に行ってしまった。それゆえに、髪のある部分とない部分のコントラストが弱くなってしまいハゲという武器を落としてしまった。髪を切ったつもりが点数を切っていた」と分析していてとても面白かったのですが、的を射てると思いました。

漫才はいつもとても面白いのですが、ネタがM1決勝という特異な場にあっていなかったと思います。林の自虐もいつもなら面白いのですが、あの場だとなぜか卑屈にしか映らず客をつかみきれていないように感じました。ギャロップはどちらかというと「静かな笑い」のコンビなので、M1決勝という舞台は地理的に不利なのかもしれませんね。

ダイアンのよなよな…はとても面白いので皆さんにも聞いてほしいですしいつか記事にしようと思います。そんな彼らのラジオは来週ゲストが来るらしいです。M1ファイナリストらしいですが果たして誰なんでしょうか?ギャロップ林だとさすがに出すぎですよね…?

⑥ゆにばーす(10位)

決勝前から「優勝したら芸人をやめる」と言って騒がせていた川瀬名人でしたが、しょっぱなに甘噛みしてしまいそれを気にしてさらにグダってしまっていました。正直甘噛みはほとんど気にならなかったですが、舞台に立っている本人はそうもいかないのでしょうか。去年はトップバッターで出てきてとても面白かったのに、残念です。ネタ中に本格しゃべくり漫才のくだりがありましたが、すごくしっかりできていて驚きました。審査員の誰かも言っていましたが、その路線のゆにばーすも見てみたい気がします。爆乳清宮君は志らくにハマっていましたね。

⑦ミキ(4位)

審査員にファンがいるだの、女性ファンばかりだのいろいろ言われいるコンビですが、本格派しゃべくり漫才ということで私は好きです。ただ、兄昴生がヒートアップしてきてツッコミが何言ってるかわからない時があるのがもったいないのと、アレをうるさく感じる人も多いだろうなと思います。ただ、そこが面白さと表裏一体になっているのでそういった意味で好き嫌いが分かれるのかもしれません。自虐に関しては、上沼恵美子が言っていた通り、ミキはスカッとしているように感じられたので戦術の卑屈さのようなものは薄らいでいましたね。ネタ中、SMAPで落としたところは面白かったです。今年のネタはあまり好きではなかったですね。やはり、去年のほうが初決勝で爆発もあったのかもしれません。

⑧トム・ブラウン(6位)

リトルトゥースとして、やはり大会前から彼らに注目していました。失礼ながら2人ともやばそうな風貌、異色のネタということもあり、ダークホース間満載でしたね。好みが分かれる系だと思いますが、私はとてもツボな芸人でした。ツッコミの「ダメ~」ってコロンブスの卵的に斬新ですよね。個人的にはキングムーミンのネタのほうが好きですね。

ネタですが、最初は客も置いてけぼりですごく滑っていましたが、2回目の「ダメ~」くらいからどかどかウケ初めて安心しました。面白かったですが、緊張もあったのかいつものようなテンポ間や声量がなかったので少し残念でした。本人たちには不本意だったみたいですが、爪痕はくっきり残っているので来年は彼らも忙しくなると思います。いつかオードリーのラジオに来てほしいですね。

ボケ(というかどっちもボケみたいなもんでしょうか)のみちおが、Abemaで熱いお笑い愛と意外にもデータ派な一面を見せていました。あの年のだれだれはこんなネタをしていました~と語る姿を見て。これは周りから慕われるな、と思いました。

霜降り明星(1位→1位)

吉本の宝…byナイツ塙。まさにその通りでしょう。ピンで賞を取ったツッコミの粗品と、高校時代はいじめを笑いで跳ね返し、春にはMVSを取ったボケのせいや2人ともすでに力が証明されている正真正銘の若手なんて長らくいなかったんじゃないでしょうか?初のM1決勝進出ということで、手の内が知られていないことがプラスに作用してまさに爆発し、勢いそのままに頂点に駆け上がりました。

ネタは舞台にかけて練りに練りまくった「航海」と「人生の思い出」。どちらもボケ数がすごい。それに対する粗品の「聞き手の1つ上をいくツッコミ」が冴えます。キラーワードを詰め込もうとすると覚めたり、聞き手がついていけなかったりしますが、粗品のツッコミは審査員の誰かも言っていたように、想像できる1つ上くらいなのでちょうどいいんですよね。このバランス感覚は素晴らしいと思います。せいやのボケもいいですよね。舞台を大きく使って立体的な漫才をしていました。平成最後のM1の王者にふさわしいと思います。優勝おめでとう!

さて、彼らは大阪のABCラジオ冠番組霜降り明星のだましうち」をやっています。毎週土曜日の27時から29時です。ちなみに録音です。私も春らへんは聞いていたのですが最近は忙しくて聞けていませんでした。たぶん今週の聴取率はすごいでしょうね~もちろん私は聞きますが、みなさんもぜひ聞きましょう!

アウトレイジのコーナー好きだったんだけどまだやってるかなぁ…

⑩和牛(2位→2位)

今最も上手い漫才師、といっても過言ではないでしょう。なんせ3年連続2位…いや~すごいです。良くも悪くも笑い飯コースに乗ってしまっているのがつらいですね。Abemaでスピードワゴンの小沢も言っていましたが、彼らの漫才を映画や小説に例えていて、なるほどと思いました。伏線を回収したり、意外な展開でひっくり返したり、いわゆる「上品な漫才」なんでしょうね。素人風情が言うのもなんですが、彼らに足りないのは「爆発力」だと思います。和牛を野球選手で例えると巨人の菅野みたいな感じなんですよね。彼は150キロ超のストレート、切れ味抜群の変化球、抜群のコントロールのすべてを持っていて、スライダーもストレートも決め球にできるほどのハイレベルゆえに「決め球がない」「特徴がない」と言われることもありました。和牛もレベルが高くそつなくこなしてるがために「ハイレベルだけど何かが足りない」感がでちゃうんでしょうね。「火の玉ストレート」「伊藤智仁のスライダー」「大魔神のフォーク」みたいな、代名詞級の武器がないと「爆発力」は出ないのでしょうか?

今回のネタは決勝は「ゾンビ」、決勝の決勝は「オレオレ詐欺」でした。「ゾンビ」のひっくり返る感じ、「オレオレ詐欺」でのどんでん返し。まさに映画を見ているようでした。私はとても面白くて、「今年は和牛だな」と思ったんですが…うますぎるがゆえに笑いが減ったんでしょうか…?来年こそM1獲ってほしいです!応援してます!

いざこざ

発端は…

 番組序盤、敗者復活戦の勝者が誰か!?という話になったときに上沼恵美子が「ミキがいい。私ファンやねん。」というような発言をしたのがすべての始まりだと思います。上沼恵美子が本当にミキのファンかどうかはわかりませんが、おそらくトークの流れで、軽い感じで「ミキのファンだ」ということを言ったのだと私は思います。

ミキ98点と自虐ネタ

時間は流れてミキの漫才後の採点。上沼恵美子はミキに98点をつけました。さらに、この前の出番だったギャロップ林の自虐には「笑えない」という評価を下したのにミキ昴生の自虐は「突き抜けていて面白い」という評価をしました。この2つが合わさって、ネット(とファイナリストの一部?)で「上沼恵美子はミキのファンで、贔屓している!」という切り取りが行われバズってしまいました。SNS時代の悪いところが出てしまってますよね、切り取りという情報量の圧縮と千里どころか悪事億里を走る拡散力

ここまでに関して、私は上沼恵美子が「ミキのファンだ」と言ってしまったのがやはりまずかったと思います。審査員という立場上、軽々しくそんなことを言ってはいけなかったのです。ただ、M1もテレビ番組なのでトークでスタジオを盛り上げるということも大事ですし、「上沼恵美子」というキャラクターあってのことだと思いますが。誤解されやすいんだと思います、特に彼女を知らない人たちからは。

そのあと98点というかなりの高得点をつけたことですが、これに関しては個人の好み、評価なので批判する権利はないと思います。ただ、他の審査員の点数からは少し外れて高かったため悪目立ちしてしまったというところでしょう。これも「ファン発言」をしていたため、下駄をはかせたといわれても仕方ないかなと思います。ただ、結果的に和牛、霜降りにも同程度の高得点をつけていたので、「偏った評価をしていた」とは言えないと思います。

自虐ネタに関しては上述した通りです。これに関しては上の事柄と一緒くたにされて批判されていますが、的確なコメントだったと思います。

インスタライブ

問題のインスタライブ。とろサーモン久保田とスーマラ武智が上沼恵美子への批判、だけにとどまらず侮辱をしてしまいました。あの動画的ではかなり武智が突っ走っていたなと思います。

 最初の久保田の「1点で俺らの人生変わるから、ちゃんとした評価をしてくれ」という主張は「言いたいことはわかるけど…」と思いました。そんなことは審査員の方もわかっているともいますし、上沼恵美子も表立って(コメントとか)はしっかり評価しているようには見えにくいかもしれないけど頭の中ではしっかり見ていると思いますよ。何せ高校生で賞を取ってしまうほどの大天才で、現在もえみちゃんねるなどで腕を見せつけていますし。コメントなどに関しては天才肌ゆえの…というのはあるかもしれませんよね、ミスターみたいな。

武智に関しては、はっきり言って失望しました。本番では「M1を愛しています!」と言っていた男がM1をつぶそうとしてるんですよ。誰もなりたがってくれないM1審査員の、さらにそのトップ的な立ち位置(=一番右端の席=2010までの紳助)に適格なのは現時点では格、実力ともに上沼恵美子しかいません。それを引退に追いやってしまった(一因?とはいえ)のはまずいですよね。松本が上沼に頼み込んでなってもらっているという話もありますし、話はなんだか大ごとになりそうな気がします。

これからどうなるんでしょうね、スーマラ。当分は干されそうですが。相方の田中は仕事が減って喜んでいるのかもしれませんが、今回のM1では彼は「てってれー」でいい仕事してただけに惜しいです。

最後に

今年のM1は久しぶりにレベルが高い回だったと思います。来年以降が楽しみではありますが、そもそも来年無事開催されるのか(西澤eyes番外編風)という問題があるのが残念です。芸能人のSNSアカウントって、ファンからすると距離が近く感じられてうれしいんですけど、こういう問題も定期的に起こっているのも事実なのでもう少し規制を厳しくするとか何らかの対応をした方がいいと思います。さみしいですけど。

金属バット

ところで、ブレイク前夜の芸人の金属バットって「金属バット」って名前、彼らにぴったりと思うんですよね。物体としての金属バットってどことなく恐怖感があるんですが、芸人の金属バットにもなんだかそのたぐいの一抹の恐怖を感じるんですよね。何をするかわからないぞ、的な。ちなみに「落語家」のネタが好きです。売れてほしいけど売れてほしくない!そんな芸人じゃないですか?(というか本人たちも言ってましたがテレビでやれるネタがそんなにない気もします…)

関係ないですが、最後にちょっと書きたくなったので書かせてもらいました。

 

それではまたお会いしましょう、アディオス!